規模にそぐわない均等割課税に救済策ができたこと(2015.10.31)
−平成27年地方税改正の適用を受けての無償減資−
約1年前に当事務所ブログに「減資で地方税均等割負担を減らせるのか」
という記事を掲載致しました。せっかくですので、続きを書かせて頂きます。
当時は無償減資しただけでは、均等割を減らすための策として何も意味を成さないという状態でした。
嘗ては売上が多く、増資をして資本金を増やしたけれども、現在は売上がめっきり落ち込んで細々と商売をしているという会社が世の中には沢山あるはずです。
資本金の額のみで課税標準を決めて取引規模は考慮しないというのは如何なものでしょう。
資本金の額が過大になっている法人の場合には、税額の多寡は受益者負担という観点で測ると考えた場合には合理的ではありません。
平成27年4月1日以後に開始する事業年度においては、
無償減資を行い、その他資本剰余金に計上してから1年以内に損失の補てんに充てた金額は、資本金の額からマイナスした金額をもって均等割の判定を行うという手当がされました。
つまり、無償減資をして均等割を減らせることが可能です。以前大赤字を出して規模縮小した会社なら繰越利益剰余金も多額の損失になっていることでしょう。
なお、この改正は外形標準課税と足並みを揃えるためだそうです。
但し、改正により課税標準にマイナスされるだけでなくプラスされることもあり、良いことばかりではありませんので詳しいことは、顧問税理士さんと相談検討して頂くとして、減資の効力が発生しないと減資したことにならないことに留意すべきだと思います。
前のブログに書いたように、仕訳しただけでは減資したことにならないです。債権者に催告書を送るという作業と異議の申し出が出るかどうかを予め考えておかないとならないでしょう。
また東京都への税務申告では、減資したことを証明する書類として、会社自身が作成する総会議事録や株主資本等変動計算書の他に、公告をした官報のコピーなど3点を申告の際に添付書類として提出するよう求められます。
東京都の場合第6号様式別表5の2の3の裏面に記載の手引きが書いてあり、
添付書類について私が先日電話で都税に直接お尋ねしました。減資登記が完了した後の謄本を出さないとダメとは言われませんでした。
でも、減資したならばその証拠の謄本を添付して課税庁に届出を行うことになりますので登記がされていない減資は怪しいと疑われるでしょう。
18万円だった均等割の負担が最小の7万円減ることは、零細な事業者にとっては結構大きいと思いました。