取得費が不明な不動産の譲渡所得 (2018.12.12)
−購入価額が証明できなければ、取得費は原則として譲渡価額の5%でやるしかありません。
私はこの仕事をしている以上、税務行政に混乱を招くようなことを書いたらいけません。みんなが好き勝手なことを言い出したら、申告が滅茶苦茶になります。
不動産の譲渡所得の申告をする場合、購入時の売買契約書等が無いのならば
取得費は譲渡価額の5%相当額とするしかないですというのが私の立場です。
と言いながら、購入時の契約書がないものの、概算取得費(譲渡価額の5%相当額を取得費とする。)を使わない例がいくつも出てきました。
先ず、何で契約書がないかと言うと、書類が多過ぎて古い書類は要らないと思って捨てたとか、認知症になりかかっていたとか、悪意の第三者が証拠隠滅を図るために破棄したらしいとか色々事情があります。
取得時に特殊関係者ではない者から購入しているのであれば、時価と極端にかけ離れていない金額で買っているはずです。
その当時のおおよその時価までは分からないことはないのですが、時価が推定できたとしても、その金額で買ったことにはなりません。
購入時の契約書が無ければその代わりになる何か決め手になるものを提示するとか、誰もが納得する合理的な説明がつくとかすれば、概算取得費を使わないことが可能になりうると思います。
譲渡損となっていることは間違いないらしく、これで課税されたらたまんないだろうという例がありました。
昔購入したということは、同時に売った側もいる訳ですので、売った側の情報へのアプローチから問題解決を図りました。
しかし、推定や推定計算による申告はリスクが高いです。
大事なことは、不動産を買った時の書類はずっと捨てたらダメということですね。買う時は売る時のことを考えていませんが、いつ売ることになるか分かりません。