-登記法人-
新設法人のクライアント様のために、先日、事業開始に関係する届出や申請書を関係官庁に提出しました。すると、直ぐに提出先某市の課税課から電話が事務所にかかってきました。本店所在地を事業所として良いのかというお問合わせです。この法人は、本店のほかに、他市に事務所を設けています。
複数の市に事業所がある場合は、それぞれの所在市町村に税務申告義務が生じます。申告するということは、仮に利益が無くても均等割という定額の税金がかかります。
課税課の職員さんは、登記上の会社の所在地が、生活拠点でしかない唯の居宅ならばそこは事業所にあたらないから申告しなくて良いと、わざわざ確認をしてくださいました。随分親切な方です。
地方税である法人住民税・事業税における事業所かどうかの判定は、①人的設備であること②物的設備であること③事業の必要から設けられたものであること④その事業がある程度の継続性を持ったものであること、により行われることになっています。
小規模法人の場合には、登記上の所在地の実態は唯の自宅で、事業は他所に部屋や建物を借りてそこで全て行っているということは、良くあることです。それにも関わらず、自宅の一部を法人に賃貸していることにして、本店が賃貸料や光熱費を払ったことにし、法人の利益をなるべく減らそうとする節税策を行っていることが多いです。
しかし、良く見てみると、赤字法人の場合などでは、こういうことをして節税とは反対の結果になっていることがあるように見受けられます。法人が個人に賃料を払うと、個人側は不動産所得が発生します。法人が大きい繰越欠損金を持っている赤字法人ならば、その賃料を計上しようがしまいが、法人に課税される利益は元々無いので、節税になっていない訳です。